ホーム > インタビュー「コーヒーと私」 > 谷口由紀【女流棋士】

コーヒーと私

谷口由紀【女流棋士】

仕事と私とコーヒーと。 Vol.12
谷口由紀【女流棋士】

女流棋士としてテレビの将棋情報番組でもおなじみの谷口由紀さん。将棋もコーヒーも、好きになったきっかけは家族の勧めでした。

 将棋の対局中、棋士は好きな飲み物を飲むことが許されている。谷口由紀さん(旧姓・室谷)の場合は……。
「私はいつもコーヒーです。将棋会館で対局があるときには、よく館内の自動販売機で缶コーヒーかカップ式のコーヒーを買っています。飲み終わったことに気づくと、また買いにいく。対局のある日は、まずカフェでコーヒーを一杯飲んでから会場へ行くようにしているので、その日は1日にけっこうな量を飲んでいることになりますね。基本的にはブラックが好きです」
 将棋盤の傍にコーヒー。プロ入りしてからそのスタイルは変わらない。
「心が落ち着き、安定して盤の上だけに神経を集中させることができる。だから、絶対に欠かせません。香りも気に入っていて、以前から豆を小さい容器に入れて部屋に飾っていました。そうしたら先日、コーヒーには消臭・脱臭効果があるという話を聞いて、これは続けなきゃ、と思いました(笑)」

人生で大切なものを、家族が教えてくれた。 

Illustration by takayuki ryujin

 コーヒーの美味しさを教えてくれたのは、ほかならぬ家族だった。親戚も含め、周りはコーヒー党揃いだ。
「うちでは昔から何かあるとコーヒーなんです。親戚がちょくちょく豆を送ってきてくれるので、母と姉は〝豆を挽いて飲む〟派、かたや父はインスタントコーヒー派。そんな中で、私だけ、最初はコーヒーが苦手でした。苦い味になかなか馴染めなかったのです。でも結局、みんなと一緒に飲んでいるうちにだんだん美味しいと思うようになりました。19歳の頃だったと思います。家族の影響は大きいですね」
 将棋を始めたのも、母の勧めがきっかけだった。小学校一年生の時、姉と一緒に将棋教室に通うことに。
「将棋教室は礼儀作法が身についていいよ、と、母が友人から聞いてきたのです。当時、その人のお子さんが教室に通っていました。ゲーム好きの姉はすぐに馴染んで楽しんでいましたが、私は一年生で漢字も読めず、つまらないだけで……。母に訴えると、数ヶ月後に大会(団体戦)があるからそこまでは頑張って、と諭されました。それでなんとなく続けていたのですが、大会に出たら、姉と友達と私のチームが準優勝したのです。賞状と楯をいただいたらとても嬉しくなって、やめることを忘れてしまいました(笑)」
 中学、高校と進学しても将棋との付き合いは続き、2010年、高校三年で女流2級に昇級、プロの道に進んだ。
「将棋もコーヒーも、最初は好きではなかったのに……今はどちらも私にとって、とても大切なものになりました。家族には感謝です」
 現在は、棋戦を含め、年間数十局の対局、将棋情報番組のMC、企業、学校の将棋部の指導なども行っている。
「将棋は負けたことを自分で認め、〝負けました〟と伝えます。これはとても大切なことだと思います。子供達の中には、負けて悔しくて将棋盤を叩いたり、駒をぐちゃぐちゃにしてしまう子もいます。そういう時は〝自分が勝った時は、逆に相手が辛い思いをするんだから、わかるでしょ〟と言って教えています。ただ勝つことだけでなく、礼を大切にする将棋の良さも伝えていけたらいいなと思っています」

文・牧野容子 / 写真・大河内禎
更新日:2018/04/18

Profile

谷口由紀(たにぐち・ゆき)
大阪府出身。2010年7月、高校三年生でプロ入り。2015年8月、女流二段に昇段。2015年度に女流棋士賞、女流最多対局賞(33局)、2016年度に女流最多対局賞(40局)を受賞。2017年4月より、NHK Eテレ将棋情報番組『将棋フォーカス』の聞き手を担当。同年10月、出身地である大阪狭山市の観光大使に任命された。スポーツ好きで、ジャズダンスやボクシングを趣味にしており、将棋連盟ではバドミントン部、テニス部、フットサル部に所属。

協力/dessin(TEL. 03-3710-2310)

谷口由紀【女流棋士】


  • ラブドリ
  • 10月1日はコーヒーの日
  • 日本インスタントコーヒー協会
  • 全日本コーヒー商工組合連合会