COFFEE BREAK

世界のコーヒー

世界のコーヒー-World-

2018.10.01

Vol.79 ブラジル:89ºC コーヒーステーション(89ºC Coffee Station)

世界中で愛されるコーヒー。楽しみ方、味わい方は、お国柄によっても千差万別です。コーヒービジネスもまた、その都市ならではのチャレンジを重ね、さまざまな広がりを見せています。
今月は、ブラジル・サンパウロから、日本のスタイルを取り入れて人気のカフェ2軒をご紹介します。まずは、東洋人街に新風を吹き込む「89ºC Coffee Station」。コーヒーのお供の豊富なパティスリーが注目されています。

コーヒーブレイクにも、日本風カルチャーを求めて

Vol.79 ブラジル:89ºC コーヒーステーション(89ºC Coffee Station) www.instagram.com/89coffeestation/

ブラジル:89ºC コーヒーステーション

混み合う平日午後の店内の様子。販売フロアから階段を数段上った奥の中二階に飲食スペースがある。日本語を読める客は少ないが、店内の日本語表記が、日本風カフェの雰囲気を演出している。店舗の一歩外は、人の往来が賑やかなリベルダージ広場だ。


 サンパウロの東洋人街リベルダージの「89ºCコーヒー・ステーション」は、昨年12月にオープンするや、いまサンパウロで最も集客の多いカフェの一つとなった。
 平日でも2000人強の集客を数えているそうで、確かに昼過ぎに訪れると混み具合にその盛況ぶりが肌で感じられる。
 オーナーは地区でこれまで24年にわたり、食品・雑貨販売店、飲食店を営んできた台湾出身のジョニー・グオさん。日本の食文化をよく知る親日家で、これまで日本スタイルのベーカリーやラーメン店などの専門店を開けては、地区の名物店へと育ててきた。奥様が日系2世で、スタッフに日本人もいることから、いつでも日本の飲食業界のトレンドを把握できるのがグオさんの強みだ。

ブラジル: 89ºC コーヒーステーション

[左]オーナー夫妻のジョニー・グオさん(左)とルシア・アキエ・ヤマモト・グオさん。[中]ホワイ トチョコムースの「白姫」(10.5レアル)、イチゴとホワイトチョコのドーナツ+カプチーノ(7.9レアル)。[右]日本メーカーの器具を使ってコーヒーを入れる。グオさんはこれら器具の輸入も行っている。


 コーヒーは、ミナスジェライス州の日系農家の豆を使用し、ドリップコーヒーには日本メーカーの器具を使用している。一日平均1000個程度販売しているケーキ類は、ショートケーキの他、ドーナッツ、プリンなど甘さ控えめの、見栄えの洗練された日本風の商品を種類豊富にそろえている。サンパウロには、世界の流行を取り入れた、コーヒー豆の質にこだわる本格的なカフェが少なくないが、それらにケーキも充実している店はない。

ブラジル: 89ºC コーヒーステーション

[左]出口を路上でドーナツが買えるブースに改装し、出入り口を一本化。売上アップにつながった。[右]ショーケースにならぶスイーツの数々。見た目が整ったケーキ類がお手頃価格で人気だ。


 店の人気の秘訣について問えば、「リベルダージを訪れる人には、日本的な何かを求めて来る人も多いので、そのニーズに応えられているからでしょう」とグオさんは語る。日本風のショートケーキが豊富なのは、オリジナル商品開発を行う食品販売店とベーカリーをすでに経営しているからだ。また、従業員には意識して日系人スタッフを多めに雇っているとのこと。
「人通りの多い立地に店を構えられたこともまた集客に大いに影響しています」とグオさん。89ºCコーヒー・ステーションは、地下鉄駅もあるリベルダージ広場に面した交差点に位置し、あたりは暗くなるまでにぎやかだ。その人通りをキャッチするべく、入店せずとも路上からドーナツが買えるように今年7月末に店舗を改装した。
 サンパウロのカフェマップに突如現れた"日系カフェ"。その進撃は、始まったばかりだ。

〈カフェ情報〉
89ºC コーヒーステーション(89ºC Coffee Station) www.instagram.com/89coffeestation Praça da Liberdade, 169 - Liberdade TEL. +55-11-3203-1108 営業時間 7:30〜20:00 定休なし
*1レアル=約27円(2018年9月現在)
写真・文=仁尾帯刀(サンパウロ市在住)
更新日:2018/10/1
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