全日本コーヒー協会

COFFEE TIMES

世界のコーヒー

世界のコーヒー-World-

2021.09.14

オリジナル焙煎が評価され、輸出が急成長。

「ベーテ・キャッテン」オーナー ヨハン・サンデリン氏

 恐らく世界で一番有名なスウェーデン語であろう「FIKA(フィーカ)」が生まれたのは1910年ごろ。コーヒー(kaffe)の綴り違いの「kaffi」をひっくり返してできたと言われ、「コーヒーブレイク」を意味する言葉としてスウェーデンの暮らしには欠かせない。

 国内の大学や職場には10時と15時には必ずフィーカの時間があり、コーヒーやお茶を片手に級友や同僚と談話するのが日課。この時間は単にコーヒーを飲むだけではなく、会話し、交流することで信頼関係が築ける重要な時間と位置づけられている。「フィーカの時間は仕事のことは滅多に話さず、趣味や家族のことを話題にします」とベーテ・キャッテンのオーナー、ヨハン・サンデリン氏は言う。

17世紀から続く、国民とコーヒーの歴史。

 スウェーデンにコーヒー豆が初めて輸入されたのは1685年。2年後には薬として薬局での販売が始まった。コーヒーを嗜好品として広めたのは国王カール12世。1700年代初めにトルコからコーヒーメーカーを持ち帰ったことから、貴族やブルジョアの間に広まっていった。一般市民に最初にコーヒーを飲ませたのはガムラスタンにある創業1785年で王室御用達だった菓子店スンドベリだと言われている。

 その後19世紀にかけて国内では五度のコーヒー禁止令が出されたものの、19世紀中盤までにはコーヒーは国民的な飲みものとして親しまれるようになっていった。1855年には酒の自己蒸留が禁止されたこともあり、コーヒーの消費量は急増する。

 1900年代に入ると小さな村に至るまでカフェが開業され、女性が好みのパティスリーカフェから労働者向けのカフェまで、コーヒーは幅広く提供されるようになった。世界大戦中には貿易制限でコーヒーは非常な高級品になったため、チコリやタンポポの根をローストした飲料を代用品としたという。

 こうした歴史や文化も手伝い、スウェーデンでは一人当たり1日3.2杯コーヒーを飲み、年間7.6キロの豆を消費する。その量は世界的にも上位に入る。スウェーデン統計局によると、職場でのフィーカのためにコーヒーや焼き菓子に消費する金額が増えているというデータもあり、これからもカフェ産業は発展していくと見られる。

コーヒー焙煎国として、増す存在感と責任感。

 コーヒー豆の輸入量は1990年の106トンから2019年の140トンへの32%増に対して、輸出は4.6トンから34.7トンと650%増。マイクロロースターが増え始めた2005年から急増していることがわかる。現在ではマイクロロースターは国内に登録されているだけでも19社に増えた。

 そのうちの1社、ドロップ・コーヒーのヨアンナ・アルム氏がローストする豆は世界で高い評価を受け、月2.5トンの豆を輸入し、うち約7割を輸出するまでに成長した。大手ロースター会社もその流れを受け、スペシャルティコーヒーに力を入れ始めている。

「コーヒー一杯の原価はSEK3(約40円)。農家の時間や苦労を考えると安すぎます。酒類や他の飲料のようにコーヒーの価値はもっと高くても良いはず」と言うヨアンナ氏の言葉は、コーヒー業界にはまだ改革の余地が残っていることを感じさせる。

Sweden
スウェーデン

主要情報
■ 面積:約45万平方キロメートル(日本の約1.2倍)
■ 人口:約1,038万人(スウェーデン統計局SCB 2021年3月現在)
■ 首都:ストックホルム ※外務省HPより(2021年7月現在)
取材・写真 机宏典
更新日:2021/09/14