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COFFEE BREAK
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世界のコーヒー-World-
2016.01.05
ブラジルとの縁で、コーヒーは特別な存在。
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カフェ経営者 アゴスティーノ・バリーアス氏
かつてカフェが担った、2つの大切な役割。
「グアラニーがまさにその典型ですが、1960年代前半までにオープンした由緒あるカフェは、奥にきちんとしたレストランを備え、通りに面した、誰でも気軽に入ってコーヒーと軽食を楽しめるカフェ部分と、奥で上流社会に属する人々が優雅に食事をする部分と、2つの役割を担っていたものです。現在もカフェのメニューにあるフランセジーニャ(ポルトガル風のクロックマダム)は、そういう時代の象徴です。夜になると、カフェにはバンドと歌手が入り、ライブの音楽を聴くことができました。コーヒーとともに、我々は豊かな時間を楽しんでいたのです。私は50年代、ブラジルに渡り、リオ・デ・ジャネイロで3軒のカフェを経営していましたが、それらもすべて同様のスタイルでした。ところが、私が帰国した66年頃には、すでにその伝統は影を潜めていました」 バリーアス氏は82年にグアラニーを購入、83年にはマジェスティック・カフェを購入してリノベーションを行った。 グアラニーの建つアリアードス通りには当時、5軒のカフェが軒を並べる賑わいぶりだったという。 「そのうち4軒は姿を消しました。ハンバーガーショップに取って代わられたところもあります。伝統を守り続けるのは難しいことです」独特の感情を抱かせる、「ブラジル」という響き。
バリーアス氏も過去にブラジルと深い関わりを持っているが、多くのポルトガル人にとって、ブラジルは旧植民地という言葉では片付けられない、独特の感情を抱かせる土地である。そしてもちろん、彼らにとって親和性の高いブラジルはポルトガルへのコーヒーの供給国としてダントツの位置を占めている。
「ブラジルとの縁があることで、コーヒーは我々にとっては特別な飲み物になっているのです」
ポルトガルのバリェタ大佐がフランス領ギアナから持ち出したコーヒーの苗木と種子をアマゾン川流域のパラ植民地に持ち込んだのは1727年のこと。以来300年近くの長きにわたって2つの国を結びつけてきたコーヒーは嗜好品以上の紐帯と呼ぶべき存在なのだ。
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左:上質な酒精強化ワインの代名詞、ポートワインはドウロ川沿いのぶどう畑に実るぶどうで造られ、ポルトの港に軒を連ねる貯蔵庫で熟成されてから出荷される。/中:サン・ベント駅構内を彩るアズレージョ(タイル)。/右:ドウロ川に架かるドン・ルイス1世橋の上から世界遺産の街並みを見下ろす。
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