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COFFEE BREAK
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世界のコーヒー-World-
プラハで台頭する、新コーヒー・カルチャー。
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プラハで台頭する、新コーヒー・カルチャー。
Ema Espresso Bar エマ・エスプレッソ・バー
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通りに面した大きな窓の効果もあって、店内は明るく開放感に満ちている。ロングテーブル以外にも2人席、カウンター、外のベンチがある。
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左から:女性客の一番人気はイチゴジャムの載ったハート形のクッキー(25CZK)。ケースには他にもパイやタルトが数種。/コクのある味わいのカプチーノ(55CZK)は量もたっぷり。/クリームチーズとズッキーニ、レタスを雑穀パンで挟んだボリューム感満点のサンドイッチ「バゲタ」(75CZK)。アメリカーノ(49CZK)はお湯を自分で適宜加えるスタイル。
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左から:スタイル、ルックス、笑顔の三拍子が揃ったスタッフのナイジェルさん。彼に限らずスタッフは動きもきびきびしていて、見ていて気分がよくなる。/店の前のベンチに陣取っておしゃべりに興じる女性客。
コーヒー豆はEU内から、最良のものを取り寄せて。
コーヒー豆は、ドイツやスウェーデンのマイクロロースター(小規模焙煎業者)から取り寄せている。自家焙煎や地元調達にこだわらず、良い豆があれば国外からでも気軽に取り寄せるというやり方はこの街の他の多くのコーヒーショップでも目にした。EUの利点はこういうところにあるのかも。店名にもなっているエスプレッソ・ドリンクが主流だが、エアロプレスやハンドドリップでいれるコーヒーのおいしさも積極的に紹介している。
左から:アイス・ドリップ(70CZK)。/コーヒー豆は吟味したものをドイツやスウェーデンのマイクロロースターから取り寄せている。/エスプレッソ・ドリンクの他、カスカラ(コーヒーの果肉部分を使ったドリンク)やアルコールの入ったアイリッシュコーヒーやカフェコレットも人気が高い。
この店があるフロレンツ地区はプラハの観光中心から東側に外れたエリアで、ツーリストよりは地元住民が多い。ミュージシャンや演劇関係者もよくコーヒーを飲みに来るという。午後5時。店内はますます盛況を呈し始めた。Super Tramp Coffee スーパー・トランプ・コーヒー
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窓辺のテーブル席でガールズトークに花を咲かせる2人。左のヤニカさんはドイツ人、右のシャールカさんはチェコ人。いずれも大学生だ。
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左から:古い建物は廃屋同然だが、中庭には緑もあって精気が満ちている。/コーヒー豆はチェコ第2の都市ブルノとハンガリー・ブダペストのロースターから取り寄せている。/カフェのロゴが入った商品も販売。右はエアロプレスの器具を持ち運ぶためにデザインされたバッグ(380CZK)、左はトートバッグ(180CZK)。
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愛娘のジュリアちゃんを挟んで、ルツィエさん(右)とトマーシさん(左)。
飾り気のない雰囲気が、訪れる者の心を和ませる。
カウンターも椅子もテーブルもDIYで簡単に作れそうなシンプルなものばかり。墨絵のようなイラストが配されたメニュー表などのアートワークは店のバリスタも務める美術学校生が手がけたもの。ショーケースに並ぶクッキーやパンもここで焼いている。それらすべてに通じる素朴さ、手作り感が居心地のよさを生んでいる。目立つ看板は出していないし、積極的なプロモーションもしていない。
左から:ブラック小(右、45CZK)とミルク小(左、49CZK)。蕎麦猪口のような陶器で出す。/カスカラ・フィズ(65CZK)。/上から時計回りに、リコッタチーズとピクルスのミニバーガー、麻の実とシトラスのケーキ、ラム入りパイ。
「この中庭を近道に使う人がいて、そういう人がふらりと寄ってコーヒーを飲んで行ってもらえればいい。それで気に入ってもらえたら、自然と口コミで店の存在が知られるでしょう」とルツィエさんは言う。中庭に向かってデッキが張り出していて、天気のよい日には、そこから席が埋まっていく。
左から:レジを兼ねた小さなカウンターですべてのサービスが行われる。/奥の壁に貼られたメニューの墨絵のようなイラストが印象的。/華美なもの、装飾的なものを排した店内の雰囲気。WiFiもあえて導入していない。スマホをいじっている人はいない。
One Sip ワン・シップ
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左から:間口は3間ほど。訪ねるのが初めてだと見逃してしまいそうな、素っ気ない外観の小さな店だ。/情報があるようでいて実はまったくないシュールな看板。
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左から:タンパー、ドリッパーなど少数精鋭の道具が美しく並ぶ棚。/カップやソーサーはターコイズブルーに統一。コーヒーの色とよくマッチしている。
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自慢のエスプレッソ・マシーンと向き合う経営者の一人、ガシツィックさん。
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左から:カプチーノ(50CZK)。/ブルノにある"ビーン・トゥー・バー"(カカオの畑からローストまでこだわったチョコレート店)「アヤラ」のチョコレート。/プラムとカッテージチーズが入ったチェコの伝統的なスイーツ、コラチ(35CZK)。
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常連客のズチさんはプラハの街の美味しい店をブログで紹介している。この店は最近のお気に入りのひとつ。
バリスタ同士が、行き来する開かれた世界。
ソーシャルメディアに投稿された店の評価には「生涯で最高のエスプレッソに出会った」といった絶賛コメントが並ぶ。メニューを見ると、「フィルター・コーヒー」の下に「バッチ・ブルー」とある。これはいわゆる自動コーヒーメーカーのこと。「立て込んでくると、ハンドドリップをしている時間がなくて」とガシツィックさんはこともなげに言う。豆さえ良ければ、ハンドドリップにこだわらなくても十分に美味しいコーヒーがいれられるという自信の表れか。われわれの取材中、他店のバリスタが店を訪ねてきた。コーヒーを飲みながら情報交換する2人はライバル同士では? こういう切磋琢磨がプラハのコーヒーシーンを支えているのだろう。Místo ミースト
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左から:店内一番奥のスペース。/アイス・アイリッシュ・コーヒー(110CZK)とフラット・ホワイト(70CZK)。奥は朝食で人気のポーチドエッグ(135CZK)。/手前はピーナツバターの入ったチェコ伝統のドーナツ、ヴィエネチェク(49CZK)。奥はブルーベリーのローフード・ケーキ(69CZK)。
木の風合いを存分に生かした内装、大きな窓から入る柔らかな外光、ゆったりとしたレイアウト、スタッフの和やかな表情。それらを生み出すのは温もりだ。2年前にオープンしたこの店、居住性の高さとコーヒーの美味しさで、すぐに評判となり、各種メディアのベスト・カフェ・ランキングでは早くも上位をキープしている。人気店の地位にとどまらず、コーヒー文化全体に寄与。
コーヒー豆はプラハ市内にある同経営のロースタリー〈ダブルショット〉から届く。カッピングを繰り返して、その都度最高のものを提供している。3種あるフィルター・コーヒーは随時ラインナップを入れ替える。エスプレッソは季節ごとにブレンドを変えて出す。この日のエスプレッソはエチオピアの豆を50%にグアテマラの2つの農園の豆を25%ずつブレンドしたもの。オレンジやカカオのアロマが感じられる、余韻の長いコーヒーだ。
左から:スタッフのダニエラさん。同経営のロースタリーではコーヒー豆は生産者から直接買い付け、焙煎はプラハ市内で行っている。最高品質をプラハから発信することが大事だと店では考えている。/フィルター・コーヒーのドリッパーも色々。/店の入り口に掲げられたチェコ語のメニュー。ツーリストにとっては言葉がまったく理解できないことも旅情をそそる。
フィルター・コーヒーのいれ方は月ごとにチェンジしているとのこと(この日はエアロプレスだった)。最近人気の変わり種メニューは、エスプレッソをトニックウォーターで割ったエスプレッソ&トニック。さすがは国民一人当たりのビール消費量世界一のお国柄。コーヒーもシュワシュワと泡を立てて飲むのがお好みらしい。 バリスタのトーマス・ドラスクさんによると、「店では一般とプロ、それぞれを対象にしたコーヒー教室を定期的に開講しているんです」とのこと。トップランナーであることで満足せず、街のコーヒー文化全体に寄与したいという店の姿勢がそこに表れている。