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COFFEE BREAK

世界のコーヒー-World-
2017.08.10
古き良き時代のカフェを、街の文化遺産に。

左から:カフェ・トルトーニの定番メニューのコルタード、チュロスとメディアルナ。/カフェ・トルトーニの地下劇場では毎晩タンゴショーが行われている。
19世紀にパリをモデルに都市開発が行われたブエノスアイレスは、南米で最もヨーロッパの影響が色濃い街だ。威風堂々とした近代建築が過去の繁栄を感じさせる中心街には、社交場として栄えたカフェが今なお残る。 現存するなかで最も古い、創業1858年のカフェ・トルトーニは、重厚感漂うインテリアが魅力で、訪れる観光客が終日絶えない。壁には、かつてここに集った芸術家たちの絵画が掲げられ、店の奥には生前に通った文豪ホルヘ・ルイス・ボルヘスやタンゴ歌手カルロス・ガルデルらの彫刻が飾られている。まるで博物館のようなカフェはこの街の歴史を知る上で必見だ。名店カフェの認証と、ブエノスアイレス市の取り組み。

カフェ・トルトーニ勤続40年の名物ウェイターのアンヘルさん。
きっと見つかる、お気に入りの老舗カフェ。
カフェ・トルトーニのほかにも人気のカフェ・ノターブレをもう二つ紹介しよう。高級住宅街レコレータのラ・ビエラは、モータースポーツがブームの最中だった1950年代に店名を今のものに変えた。「ビエラ」とはエンジンパーツの名称で、店内には当時のブームが感じられる白黒写真が展示されている。おすすめは屋外の路面席。天に向けて枝を伸ばした樹齢200年以上のゴムの木の木漏れ日の下でコーヒーが楽しめる。南米の雄大な自然を背景にした街のあり方と歴史が感じられるカフェだ。
世界三大劇場に数えられるコロン劇場からほど近いプチ・コロンは、金色のカウンター周りと濃い褐色の木製調度品が、まるで琥珀に閉じ込められたかのような空間を演出している。劇場の名前を冠して恥じないその内装は、演劇や音楽の鑑賞後の余韻に浸っていたいひと時にもってこいだ。
73店舗もある古き良き時代のカフェ。街を歩けばきっとあなたのお気に入りの店が見つかるはずだ。趣のあるカフェの、窓辺の席でコーヒーを味わいながら通りを眺めれば、それまで以上に街の魅力が感じられることだろう。

左から:ラ・ビエラ入り口に鎮座するホルヘ・ルイス・ボルヘス(左)とアドルフォ・ビオイ=カサーレス(右)の彫刻。ともにアルゼンチンを代表する作家だ。/琥珀色の内装が美しいプチ・コロン。
