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COFFEE BREAK
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世界のコーヒー-World-
人々がカップの中に見る夢。ケープタウンのコーヒー事情。
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人々がカップの中に見る夢。ケープタウンのコーヒー事情。
Truth Coffee Roasting トゥルース・コーヒー・ロースティング
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左から:活気溢れるカウンター。内装とスタッフのコスチュームがよくマッチしている。コーヒーまでファンタジーな香りを纏いそう?/エスプレッソ(32R)。皿に刷られた「砂糖不要」の文字に味に対する自信が漲る。/カフェ・ラテ(38R)とチョコレート・エクレア(30R)。
店内に入ると、張り巡らされたパイプ、鈍く光るアナログな機械たちが目を引く。ジュール・ヴェルヌの世界? メタルとレザーの風合いが満ちた空間に航空黎明期の飛行家のような出で立ちのスタッフが待ち受けている。この店のコンセプトは「スチームパンク」(※)。2016年にはイギリスの新聞社が選ぶ「世界のベスト・コーヒーショップ」で見事第1位に輝いた。受賞の理由は完成度の高い装飾だけではない。鋳鉄製のヴィンテージロースターを用いて焙煎されるコーヒーも評価が高く、南ア国内の多くの一流ホテルにも供給。「〝苦味ではなく香りを〟というのが我々のモットーです」とバリスタ・マネージャーのイノセント・チャカニューカさんは言う。コーヒー豆はブルンジやザンビアといった、日本ではあまりお目にかかることのないアフリカ内の産地からもやってくる。 「コーヒーは真実の関係を作るもの。その意味を込めてトゥルース(真実)という言葉が店名に採用されました」。未だアフリカ各地には紛争や貧困等の深刻な問題が残る。そんな中、産業としてのコーヒーが担う役割は大きい。チャカニューカさんの言葉は重い。
左から:奥のボックス席はお喋りしながらゆっくりとコーヒーや食事を楽しみたい客向き。天井からは飛行船の照明が。/クリケットのバットを手にポーズを取るスタッフ。ここにも「砂糖不要」の文字が。
トレンドを押さえる一方で、コーヒー文化の啓発も。
コーヒーメニューは一般的なエスプレッソ・ドリンクやポア・オーバー(ドリップ)の他、ダブル・エスプレッソにオレンジジュースを加えた「サンライズ・エスプレッソ」(23R)、アメリカーノにバターとMCT(中鎖脂肪酸)オイルを入れた「バトル・ブリュー・コーヒー」(30R)など、世界最先端のトレンドを押さえたメニューも。またメニュー表の後半には「バリスタ・コース」と題して、遊び気分で楽しめるものから本格的なコーヒー起業を考えている人向け(所要5日間で6000R)まで、4つの教育プログラムの情報が掲載されている。
左から:バリスタ・マネージャーのチャカニューカさん。/客にコーヒーのいれ方をデモして見せるスタッフ。「啓発」はこの店の重要な仕事。/店の評判を聞きつけて来店したイギリスからの旅行者。
Haas Coffee ハーズ・コーヒー
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ギャラリー、ショップ、さらには広告制作会社のミーティングルームという機能も持つ多機能空間。コーヒーが媒介となって人と人を繋ぐ。
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左から:ラテ(25R)を運ぶスタッフのバーバさん。/ナッツ入りラスクとチョコレート・クラスター(いずれも8R)。ヴィーガン用に牛乳やバターを使わないスイーツも提供。/美しく3つの層を成すアイス・ラテ(28R)。
マニアのニーズに応える、"変わり種"もオンメニュー。
メニューにはエチオピア、グアテマラ、コロンビアなどからのシングル・オリジンのストレート・コーヒー5種と2種のブレンド、ディカフェが並ぶ。また、標高1700m以上の高地の畑で栽培されたブルーマウンテン(ジャマイカ)やケープタウンで開発されて話題になった〝世界で最も強いコーヒー〟ブラック・インソムニア、さらにはジャコウネコの体内で発酵した豆を使うコピ・ルアックまで、マニアのニーズに応える品目を揃える。
左から:開け放たれた窓から柔らかな自然光が。広々としたスペースにゆったりと展示されたアート作品。贅沢なコーヒータイムを約束する空間だ。/「コーヒーも一つのアート作品だと考えています」と語る共同オーナーのアーヴィンさん自身が無類のコーヒー好き。/カウンター手前のテーブル席。
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左から:アメリカーノ(22R)。自家焙煎のコーヒー豆は80R/250g(エチオピアは90R/250g)。/揚げパンのようなクックシスター(10R)。/お腹の空いた人にはシャルキュトリーやチーズ、フムスなどのタパスプラッター(100R)を。
Kleinsky's Delicatessen クラインスキー・デリカテッセン
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左から:メニューボードのトップに記された朝食メニューは「サーモン入りスクランブルエッグ」など6種あり、正午までオーダーできる。/経営者兄弟の一人、ジョエル・クラインさん。「ニューヨーク風の伝統的なレシピ、ケープタウンの素材で作りたかったんです」。
アダムとジョエルのクライン兄弟が2014年にオープンした。場所は、ケープタウンで最も多く富裕層が暮らし、ファッショナブルで国際色も豊かな海岸沿いの街、シー・ポイント。ヴィンテージ感たっぷりのビルを改修して店を構えるに当たり、兄弟が目指したのは「ニューヨークにあるような店」。デリカテッセンというスタイル(実際の業態はカフェといった方が相応しい)も苗字の後にskyをつけて移民風に響く〝偽名〟を創り出し、店名にしたことも、全ては同一のコンセプトの上にある。こだわりのパンやペイストリーは、昔ながらのレシピと地元の材料を使い、自社のキッチンで焼いている。一番の自慢の品はベーグルだ。手で粉をこねてロールにし、一晩かけてじっくり発酵させたものを焼く前に蜂蜜入りのお湯で茹でる。パストラミは牛バラ肉にハウスブレンドのスパイスを擦り込み、数時間燻製にかける。
左から:アフリカらしい動物ラテアート制作中。素朴なタッチがたまらない。/トイニーさん作、ライオンと象のラテ(28R)。好きな動物をオーダーして欲しいとのこと。/犬と一緒に立ち寄った地元の常連客。
ラテアートの絵柄は、アフリカらしい動物たち。
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店内の壁は地元アーティストたちに作品展示の場所として提供している。
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左から:ルゲラー(ユダヤの菓子パン、各10R)。/ラム・ベーコンとフライドエッグが入ったブレックファースト・ベーグル(54R)。/メニュー立てに描かれた「ポーション・コーヒー」はケープタウン生まれの水出しコーヒー。
Deluxe Coffeeworks デラックス・コーヒーワークス
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左から:早朝から常連客が続々と。/スタッフのザインさん(右)とジャックさん(左)。背後に飾られたTシャツには「常に焙煎」のメッセージが。
ウェブサイトの冒頭に載せられた紹介文がふるっている。〈店には小洒落たフードもWi-fiもありません。私たちのノリと合わないから。たくさんの良い音楽と面白い人たち、そして偉大なコーヒー。私たちは自分が受け取りたいような方法でコーヒーを提供しています〉 「ラフィキ」というレストラン&バー(ケープタウンの有名店だったが2016年に惜しまれつつ閉店)で出会ったカール・ヴェッセルさんとジャッド・フランシスさんが共同で起業したのは2010年。フランシスさんは元々「オリジン」というコーヒーショップで焙煎を担当していたが、いつか自分のカラーを前面に出した店を構えたいと考えていた。ヴェッセルさんの家の庭で中古のロースターを使って豆を焙煎することから始めた。最初の顧客になったのは「ラフィキ」だった。フルボディーでスムースな、コーヒーを目指す。
朝8時、店には常連客が次々と訪れる。メニューはない。客は好みの飲み方を告げる、それをバリスタが受けて、コーヒーをいれて出す。愛想と呼ぶべきものはここにはない。唯一ルールと呼べそうなことは、エスプレッソの注文を受けたら、必ずダブルショットで出すということ。 コーヒー豆はブラジル、グアテマラ、エチオピアなどからのものを厳選し、ブレンドと焙煎は自社で毎日行う。コーヒーの味わいに求めるのは「フルボディーで香りが開いていて、そしてスムースであること」。 常連客の一人、インドの服の輸入販売をしているキャサリン・ボーエンさんはケープタウンのコーヒー事情に精通。新しく店が開いたと聞くと、必ず出かけて試すが、ここに勝るクオリティには出会えていないと言う。「おかげで週に3回はここに立ち寄ります」。ボーエンさんは満足そうに笑った。
左から:多くの人がフラット・ホワイト(右)かラテ(左)を選ぶ。/ベースのエスプレッソはグアテマラ45%、ブラジル45%、エチオピア10%のブレンド。/犬の散歩のついでに立ち寄ったご近所の常連さん。客はローカル率が高く、スタッフはほとんどの客と顔なじみであるという。