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COFFEE BREAK
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世界のコーヒー-World-
2014.07.01
Vol.3 ドイツ:アゴラ・コレクティブ(Agora Collective)
世界中で愛されるコーヒー。楽しみ方、味わい方は、お国柄によっても千差万別です。コーヒービジネスもまた、その都市ならではのチャレンジを重ね、さまざまな広がりを見せています。
Vol.3では、ドイツ・ベルリンで定着してきた"コワーキング・スペース"を経営する【アゴラ】をご紹介します。美味しいコーヒーを出すカフェが人気で、新たなビジネスミーティングの場として賑わっています。
中でも「アゴラ・コレクティブ」は、コワーキング・スペースを使う人だけでなく、近隣の住民からのカフェの評判が高い物件だ。 「"アゴラ"とはポルトガル語で"いま"、ギリシャ語では"市場"や"人が集まる場所"という意味。私たちの目的は、コミュニティなんです」と創立当初からこのスペースに関わる、財政担当のクリスティアン・ヒルデブラントさんは言う。 2011年4月のオープン当初には、アーティストが集まる共同スタジオとして1階の空間だけを借りていた。 しかし人が集まり過ぎてしまい、パソコンで作業をしている人の横で料理をする人が居たり、絵を描いている人がいたりして、仕事に全く集中できない状況に。たまたま同じビルの3階スペースが空いたのを機会に、オフィスとなる「静かなスペース」を3階に移動して、1階をカフェに改装した。 くつろげる空間とコーヒーや軽食の味が評判となり、そして近隣に飲食店がないこともあって、看板もない隠れ家的立地にも関わらず近隣の住民がコーヒーを飲みにやってくるように。カフェ&キッチンを通じて交流を広げ深める「フード・プラットフォーム」というコンセプトを掲げ、昨年末から、ランチ時にカフェスペースと設備を曜日ごとに異なる料理人にレンタルするというビジネスモデルを考え出した。
料理人が日替わりで腕を振るう、コワーキング・スペース
Vol.3 ドイツ:アゴラ・コレクティブ(Agora Collective) www.agoracollective.org
「アゴラ・コレクティブ」のカフェで打ち合わせをする人たち。「デジタル遊牧民」と呼ばれる新しい仕事のスタイルだ。 カフェの前庭にもテーブルが置かれ、夏場には、緑の中でコーヒーを飲みながら朝のミーティングを行っているグループも
ベルリンは特殊な歴史を持つ町だ。1990年から東西統一ドイツの首都に返り咲き、家賃の安さや統一後の混乱状態もあって世界中からクリエイターを惹きつける町となった。 しかしその人気から家賃が高騰。またノート型パソコンの普及で在宅ワークが増えたことから、情報の共有や交流を求めて「コワーキング」と呼ばれる共同オフィスが続々と登場している。
「コワーキング」とは、広いオフィスの個人用のデスクを時間制で借りるシステムだが、従来のレンタルオフィスなどと異なり、各人の空間が孤立しない作り。ミーティングルームやカフェなどの共有空間を併設し、使用者間でのコミュニケーションが重視されている。
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(上)1階のカフェ内のクッキング・スペース。天井から吊られている「ウィンドウ・ファーム」はスタッフのアイデア。調理に使うハーブが植えられている
(下)同ビルの2・3階はコワーキング・スペース。最上階はアーティスト・イン・レジデンス用の滞在&制作空間に
中でも「アゴラ・コレクティブ」は、コワーキング・スペースを使う人だけでなく、近隣の住民からのカフェの評判が高い物件だ。 「"アゴラ"とはポルトガル語で"いま"、ギリシャ語では"市場"や"人が集まる場所"という意味。私たちの目的は、コミュニティなんです」と創立当初からこのスペースに関わる、財政担当のクリスティアン・ヒルデブラントさんは言う。 2011年4月のオープン当初には、アーティストが集まる共同スタジオとして1階の空間だけを借りていた。 しかし人が集まり過ぎてしまい、パソコンで作業をしている人の横で料理をする人が居たり、絵を描いている人がいたりして、仕事に全く集中できない状況に。たまたま同じビルの3階スペースが空いたのを機会に、オフィスとなる「静かなスペース」を3階に移動して、1階をカフェに改装した。 くつろげる空間とコーヒーや軽食の味が評判となり、そして近隣に飲食店がないこともあって、看板もない隠れ家的立地にも関わらず近隣の住民がコーヒーを飲みにやってくるように。カフェ&キッチンを通じて交流を広げ深める「フード・プラットフォーム」というコンセプトを掲げ、昨年末から、ランチ時にカフェスペースと設備を曜日ごとに異なる料理人にレンタルするというビジネスモデルを考え出した。
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(左)キッチンをレンタルすると、カフェのスタッフ1名がヘルプに入る
(右上)コーヒー2ユーロ、カプチーノは2,30ユーロ
(右下)毎週水曜日に登場し好評を得ているPark & Perezのランチメニュー
店内は60席、天気のいい日は前庭のテーブルを含めて約120席。食事は平均40食が出る。最低でも3カ月のレンタルからで1日50ユーロ〜。カフェのスタッフは「アゴラ・コレクティブ」側から提供する。ベルリンではクリエイティブな職種の人ほどベジタリアン率が高いこともあって、ランチにも必ずベジタリアン向けと通常の2種類を用意。 最上階にはアーティストを招聘してこの場所で制作をしてもらう「アーティスト・イン・レジデンス」施設を作ることで、"ゲーテ・インスティトゥート" (公的な国際文化交流機関)などからサポートを受けており、ゆくゆくはキッチン・コワーキングとして名前をあげていきたいと言う。「美味しいコーヒーと食事は人を運んで来てくれますから」とクリスティアンさんはにっこり微笑んだ。
〈カフェ情報〉
アゴラ・コレクティブ(Agora Collective)
www.agoracollective.org
Mittelweg 50, 12053 Berlin
Tel.030・6098・0927
9:00〜17:00(月〜金) 10:00〜23:00(土) 日休 ランチ13:00〜