世界中で愛されるコーヒー。楽しみ方、味わい方は、お国柄によっても千差万別です。コーヒービジネスもまた、その都市ならではのチャレンジを重ね、さまざまな広がりを見せています。
ベトナムのホーチミンには数えきれないほどのカフェがありますが、現在猛スピードで発展している市内には、近年外資コーヒーチェーン店も多く進出。そんな中、激戦区のバックパッカー街でベトナムらしさを復活させるカフェが登場しています。今月はベトナムの「80's」がテーマです。
Vol.52では、今までありそうでなかった社会主義のイメージをポップにアレンジしたハノイ発カフェをご紹介します。

いまや全国30店舗以上、古いものに新しいアイディアをプラスしたカフェが大人気。

Vol.52　ベトナム：コン カフェ（Cộng Cà phê）
congcaphe.com

　ハノイ発の「コンカフェ」は、80'sの配給時代のハノイをイメージし社会主義色をポップにアレンジした人気カフェ。今までなかったのが不思議だが、今の時代だからできることなのかもしれない。ホーチミンに進出してきたのは2015年末。ベトナムの若者をはじめ、外国人にも大人気のカフェだ。
　「コンカフェ」の生みの親は1975年生まれの歌手のリン・ズンさん。友人のカフェの経営がうまくいってないからと相談をうけ、カフェを手伝うことになったのが始まりだ。
「そのカフェには古いものがたくさんありました。私の子供時代に戻った感じだったんです。そうした"古いもの"に新しいアイディアを"コン（＝プラス）"したのがこのカフェ。カフェの中と外では空間が違っていて、古いものに囲まれた静かな空間から窓の外の賑やかな日常生活を垣間見る。古いのは、家具だけではなく、歴史や文化も。店名の"コン"には、いろんな意味が含まれているのです。コンカフェはお客さまを引き留め、お客さまはコンカフェを思い出す。そんなところも魅力です」

　年中通して暑いホーチミン。お勧めはコンカフェオリジナル"ココナッツミルクコーヒー"だ。ココナッツのフラッペに濃いベトナムコーヒーをかけていただくと、ココナッツがほんのり甘く、ベトナムコーヒーのほろ苦さがマッチして、感動すること間違いない。ちなみにハノイではヨーグルトコーヒーが大人気。甘酸っぱいヨーグルトにクラッシュアイス、そしてコーヒーを注ぐ。これも今までになかった味で、ちょっと癖になりそうだ。

　「コンカフェ」では、コーヒーやホーロー食器、オリジナルグッズの販売もしているので、ベトナム土産としても喜ばれそうだ。
　オーナーのリン・ズンさんは、もともとこのカフェの仕事を大きなビジネスにするつもりはなかったのだが、現在ホーチミンに6店舗を構え、ハノイではなんと20店舗以上、地方都市にも次々と出店しており約30店舗以上のカフェを持つチェーン店に成長した。今後は、海外にも進出予定だそうだ。

 

＊1万ドン＝約50円（2017年2月現在）
文・写真＝河村きくみ（ホーチミン市在住）
更新日：2017/3/15