世界中で愛されるコーヒー。楽しみ方、味わい方は、お国柄によっても千差万別です。コーヒービジネスもまた、その都市ならではのチャレンジを重ね、さまざまな広がりを見せています。
コーヒーを愛してやまない北欧の国デンマークでは、「自宅でも本物のコーヒー」をテーマに、コーヒーの講習会に参加するのが流行っています。Vol.9ではコペンハーゲンで講習会の先陣を切ったコーヒー業者「コントラ・コーヒー」を紹介します。

講習会で楽しく学んで、コーヒーをもっと美味しく飲もう。

Vol.9　デンマーク：コントラ•コーヒー（Kontra Coffee）
www.kontracoffee.com

　ひとり当たりのコーヒー消費量が世界のトップ10に入る北欧諸国。コーヒー先進国のデンマークにおいても、本当に美味しいコーヒーが求められるようになってきた。カフェで飲むだけでは飽き足らず、自宅でその味を再現したいコーヒー通が増えてきており、アマチュア向けの講習会が盛況だ。
　その中でも人気なのが、2006年にコーヒー豆の直輸入と焙煎所をスタートさせたパイオニア的存在の会社、「コントラ•コーヒー」が主催する講習会。同社は直営カフェを持たず、レストランやカフェへの卸売やショップでの豆や器具の販売に加え、プロ、一般消費者向けの"コーヒー•アカデミー"という講習部門をもち、コーヒーの普及に努めている。
　現在、一般消費者向けに月１～２回の頻度で開催されているのは３コース。
コーヒーの歴史や基礎を学び、カッピング体験もできる入門編の"コーヒー•ユニバース"、同社が扱うエスプレッソマシンの使い方を詳細に習う"バリスタ•テクニック"、そして、おなじみの"ラテアート"と、いずれも２～３時間の単発講習。スタートは午後６時からだから、仕事帰りに気軽に立ち寄れるのも魅力。さっそく、入門編"コーヒー•ユニバース"（有料：250DKK＝約4,800円）に参加してみた。

　場所は市内中心から東へ車で10分ほどの住宅地、ウスターブロの「コントラ•コーヒー」のショップ地下。参加者12人のうち9人が男性だ。参加の動機を聞いてみると、「毎日飲んでいるコーヒーについて、もっと知りたいから」「エスプレッソにミルクという飲み方に飽きたから、別の味わい方を習いたい」と、意外にシンプルで謙虚な答えが大多数。

　今回の講師は、焙煎とエスプレッソマシンのスペシャリスト、スティーン•イェンセンさんだ。
　コーヒーの歴史、生産地、品評会と、消費者に届くまでのプロセスをスライドと動画で学んだ後には、おまちかねのカッピング。スプーンの使い方、香りと味のチェックなど、プロのやり方を教えてもらい、ひとりずつ感想を述べる。

　この日試飲したのは７種類。ブラジル、コスタリカ、コロンビア、エチオピア、ケニアの単一品種、当社のオリジナルブレンド「アフター•ディナー」、そしてスーパーの特売ブレンド。参加者全員が、それぞれのコーヒーの味の特徴をきちんと指摘できた。「アロマの印象もうすいし、これは違うな」と、覚えたての言葉を使ってコーヒー通気取りの人もいて、試飲会はかなり盛り上がった。また、「毎日なにげなく飲んでいるコーヒーが、こんなに時間をかけて作られるとは思わなかった。大切に飲まなくちゃ」という参加者の言葉が印象的だった。

　講習会終了後のお土産は、試飲したコーヒーの中から一番気に入った豆を１袋。有料の講習会とはいえ、「コントラ•コーヒー」の販促におおいに役立っているにちがいない。

＊１DKK=約19円（2014年11月現在）
写真・文＝冨田千恵子
コペンハーゲン市在住
更新日：2014/11/1