COFFEE BREAK

世界のコーヒー

世界のコーヒー-World-

2017.02.01

Vol.49 イタリア:テラッツァ トリエンナーレ(Terrazza Triennale)

世界中で愛されるコーヒー。楽しみ方、味わい方は、お国柄によっても千差万別です。コーヒービジネスもまた、その都市ならではのチャレンジを重ね、さまざまな広がりを見せています。
2015年の万博で世界中の注目を集めたミラノでは、新しいタイプのカフェが次々とオープン。中でも歴史あるスフォルチェスコ城とセンピオーネ公園の一角に登場した、素晴らしい景色が楽しめる近代的なカフェに人気が集まっているようです。

宙に浮かぶレストランから、ミラノの街を一望。

Vol.49 イタリア:テラッツァ トリエンナーレ(Terrazza Triennale)
www.osteriaconvista.it

イタリア:テラッツァ トリエンナーレ

温室テラスのような内装のカフェレストランは、カップルから年配の方まで老若男女に人気のスポットに。広々としたガラス張りの室内を囲むようにL字型のテラスがある。センピオーネ公園の緑の上に浮きあがったような店内からミラノの街を眺めることができる。

 今、ミラノでは景色の良い店が大人気だ。これまでレストランやカフェは路面店が中心だったが、そんなミラノに生まれた新名所、美しい展望に恵まれたテラッツァ トリエンナーレは開店以来、瞬く間に大人気の店になった。
 この店のオーナーは、ミラノに9店舗を構える飲食業の達人ウーゴさん。弁護士を志して法律を勉強しながら、飲食業界でずっと活躍してきた。「ミラノの街は楽しい場所がたくさんあるのに、うまく活用できていなかった。だから、こんな店があればいいのにと自分で思えるものを作り続けてきたんだ」と語る彼は、自らリスクを背負い、店をたくさんオープンしてきた。

イタリア:テラッツァ トリエンナーレ

[左] 最強のコンビ、二つ星「ドゥエ・コロンベ」シェフ、ステファノ・チェルヴィーニさん(左)とオーナーのウーゴ・ファーバさん(右)。[中] 料理の後のコーヒーは美味しくなければ、とスーシェフのマテオ・フェッラーリオさん。彼がいれるコーヒーは最高に美味しい。 [右] カップの温度、機械の掃除、圧力、そしてフレッシュなコーヒー豆と愛情。これが揃うと美味しいコーヒーがいれられるという。カフェエスプレッソ3ユーロ。

 現代アートやデザインの美術館として知られるミラノ・トリエンナーレ美術館の2階、センピオーネ公園の一角にある。「美術館にレストランを」という招待コンペがあったとき、ウーゴさんは逃さずそれに参加。彼の案はコンペを勝ち取り、ここにカフェレストランを昨年オープンした。
 彼が思い描いた案は、テラスに囲まれたガラス張りの、まるで宙に浮いたようなレストランだ。ランチタイムの昼間から夜まで、ミラノの街を360度見渡すことができ、ミラノの文化人やデザイナーの交流の場にもなり、世界のどこから人が来ても恥ずかしくなく、それでいて家族でも楽しめる、そんな場所だ。日曜には子ども連れの客で賑わうような、客を選ばない場所こそがみなの憩いの場所になるのだとウーゴさんはいう。
 イメージ通り、宙に浮いたようなレストランに仕上がった。コルテフランカにある2つ星レストラン「ドゥエ・コロンベ(Due Colombe)」からシェフを招聘。立地よし、料理よし、そして気軽にコーヒーも楽しむことのできる最高に眺めの良いカフェレストランが誕生した。このトリエンナーレの裏にはスフォルチェスコ城の庭が見え、その向こうには2015年に新築されたガリバルディ駅の高層ビル。この窓からミラノの景色のすべてを観ることができる。

イタリア:テラッツァ トリエンナーレ

[左] 春から10月終わりまではテラス席もオープンする。吹き抜ける心地よい風を感じ、景色を眺めながらのコーヒーや食事は格別に美味しい。[右] センピオーネ公園の森をはさんで、遠くに見えるのはガリバルディ駅の近代的な建物。この景色を見るだけでも訪れる価値がある店だ。

 コーヒーは、2つ星のレストランのシェフやスーシェフが入れてくれるのだから贅沢な限りだ。いつも一定の温度を保ち、加圧と豆のバランスを考え、美味しさを極める。少し濃いめで酸味がある感じが特徴だとか。「2つ星レストランの客は、コーヒーとケーキが美味しくないと客は満足しない。だからうちには日替わりケーキがいつもあり、美味しいコーヒーが彼らを待ち構えているんだ」とスーシェフはいう。食事をしない人も気軽に入れるようにと設けられた午後のカフェタイムは、ミラノの夕暮れが一番きれいに見える時間でもある。春から10月の終わりまでオープンするテラス席でコーヒーも楽しむこともできる。ミラノを特別な心ゆくまで味わいたい人にオススメの場所だ。
 遠方からの来客も多く、外国人客も多い。春の展示会「ミラノサローネ」の時期には、予約なしでは入れないほどの大賑わいとなる。

〈カフェ情報〉
テラッツァ トリエンナーレ Terrazza Triennale
Viale Alemagna Emilio, 6
20121 Milano – Italia
www.osteriaconvista.it
営業時間 
12:00〜25:00、15:00〜18:00、23:00〜24:30(カフェ) 月曜定休

*1ユーロ=約122円(2017年1月現在)
写真=フランキー・ヴォーン
文=さかもときよえ(ミラノ市在住)
更新日:2017/2/1

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