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世界のコーヒー

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2019.11.01

立地にこだわり1.88平方メートルの小規模カフェを成功 ブラジル:ザ・リトル・コーヒー・ショップ

 世界中で愛されるコーヒー。楽しみ方、味わい方は、お国柄によっても千差万別です。コーヒービジネスもまた、その都市ならではのチャレンジを重ね、さまざまな広がりを見せています。
 サンパウロではここ4、5年、コーヒー豆の質にこだわるカフェがそれまで以上のペースで増えています。中でも小規模なカフェの登場が際立っています。まずは、極小コーヒー店の「ザ・リトル・コーヒー・ショップ」を紹介します。

立地にこだわり、1.88平方メートルの小規模カフェを成功。

Vol.99 ブラジル:ザ・リトル・コーヒー・ショップ(the little coffee shop)
www.thelittlecoffeeshop.com.br

ブラジル:ザ・リトル・コーヒー・ショップ

個性的なカフェが多い地区にあって、小ささが魅力のザ・リトル・コーヒー・ショップ。その店構えはまるで極小の街角バリスタ劇場のようだ。テイクアウトが多いのだが、オーナーやスタッフが接客する際の談笑から、常連客との密接な日常が感じられた。

 古い家屋を改装した店が並ぶサンパウロ市ピニェイロス地区の一角では、平日の昼過ぎになると歩道でコーヒーを立ち飲みする人々の姿が見られる。その集団に覆い隠されるように営業するのが、「ザ・リトル・コーヒー・ショップ」だ。
 敷地面積はわずか1.88㎡のカウンターのみ。オーナーのフラヴィア・ポリアーニさんは、母が所有する古い家屋と隣の服飾店のショーウィンドーの一部を改築して、極小コーヒーショップをオープンさせた。

ブラジル:ザ・リトル・コーヒー・ショップ

[上左]エスプレッソ(25ml、4.50レアル)とミルククリーム入りチョコブラウニー(5.5レアル)。[上右]かつて独りで営業していたフラヴィアさん。バリスタを雇ってカフェ講座の開設が可能に。[下]スタッフは、バリスタ歴10年のジェニファーさん(左)と同8年のダニーロさん。

 フラヴィアさんがコーヒーショップのオーナーとして起業するに至ったのは、経済学の勉強を続けるためにシドニーの大学院に4年間留学したことがきっかけだった。学費を稼ぐためにアルバイトしたカフェでコーヒーのトレンドに触れ、その美味しさに目覚めたのだという。
 振り返れば母国ブラジルは、世界一のコーヒー大国。学業半ばで3カ月間の休暇を利用して一時帰国し、収穫期の農場や焙煎職人を訪れ、コーヒー鑑定士講座を受講するなど集中的に国産コーヒーのあれこれを学んだ。
 シドニーで学業を終える頃には、志す進路は企業就職からカフェ経営へと変わっていた。帰国後はコーヒー販売業者の商品開発に携わり、2013年に現在も名称を変えて毎年行われるイベント「サンパウロ・コーヒー・ウィーク」を創設。そしてその翌年に極小の店舗「ザ・リトル・コーヒー・ショップ」を開業したのだ。

ブラジル:ザ・リトル・コーヒー・ショップ

[上]営業時間前に行われるカフェ経営講座は、カウンター奥の階段を上がった2階で行われる。 [下左]コーヒー豆は、ミナス・ジェライス州イタジュバ産のシングル・オリジンとブレンドを販売。 [下右]ドリンク10杯かコーヒー豆1パック購入で、エスプレッソかリストレット1杯をサービス。 

 「こだわったのは立地でした。通行人が行き交うこの一角でカフェを開けたら、集客は間違いないというのが自分で地域を調べた結論でした」とフラヴィアさん。敷地の制約ゆえドリンクはすべてエスプレッソがベースで、コーヒー豆は2社の焙煎業者からの豆を独自にブレンドしている。
 店舗の拡張は望まずとも、フラヴィアさんは事業の拡大には展望を抱いている。2017年にはスタッフを雇い、2階の空き部屋となった一室でカフェ経営講座を始めた。サンパウロではカフェのオープンラッシュは続いているため、応募者は絶えない。近い将来にはオンラインショップの開設を予定している。極小空間から発信するビジネスモデルは、今後も増えていくだろう小規模カフェの模範として注目されている。

〈カフェ情報〉
ザ・リトル・コーヒー・ショップ(the little coffee shop)
Rua Lisboa 357-A, Pinheiros, São Paulo
TEL: なし
営業時間 12:00~17:20 休:土、日、祝日
www.thelittlecoffeeshop.com.br

*1レアル=約26円(2019年10月現在)
写真・文=仁尾帯刀(サンパウロ市在住)
更新日:2019/11/1

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