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2024.07.09

コーヒーが筋トレにいいってホント?

コーヒーが筋トレにいいってホント?
夏本番前に、筋トレや運動を取り入れて、理想の体型を目指す人も多いはず。筋トレをする人にとってタンパク質やアミノ酸といえば、"トレーニングの相棒"ともいえる成分ですが、実はコーヒーにも、運動時のパフォーマンスアップに役立つ成分が含まれていることが分かっています。今回は、コーヒーと筋トレの関係を解説します。
北岡 祐さん

教えてくれたのは...... 北岡 祐さん

神奈川大学、人間科学部人間科学科教授。運動生理・生化学、トレーニング科学を専門として活躍。"科学の最先端をスポーツの現場につなげること"をモットーに、運動生化学的なアプローチを用い、運動・トレーニングによる身体の適応を裏付ける研究を進める。

コーヒーが運動・筋トレにいい3つの理由

私たちにとって身近な飲みものであり、目覚めの朝や日中のリラックスタイムに欠かせないコーヒー。実は、アスリート界ではコーヒーに含まれる成分に着目し、パフォーマンス向上のために摂取している人が多いといいます。

北岡先生 コーヒーにはさまざまな成分が含まれていますが、筋トレや運動のパフォーマンス向上に有効な成分は『カフェイン』です。コーヒーやお茶などの身近な食品に含まれていながら、運動パフォーマンスを高める数少ない成分として長年研究が進められています。カフェインは『中枢神経系』と『筋肉』に働きかけますが、運動や筋トレにおけるパフォーマンス向上という面では、中枢神経系への影響が大きいと思います
コーヒーが運動・筋トレにいい3つの理由
コーヒーが運動・筋トレにいい理由①
疲労感の軽減・持久力の持続

主観的運動強度といって、競技後どのくらい疲れているか・痛みが軽減するかでパフォーマンス効果を判断します。コーヒーを飲んでから、スクワットや長距離走などの持久系の運動を行った場合、疲労困ぱいまでの時間が長くなるという結果が報告されています。

北岡先生 『カフェインを摂取すると疲労感が軽減し、その分長くパフォーマンスを維持できる』『競技後の疲労感を抑えられる』という結果が多いようです。これはカフェインが、脳のシグナル伝達物質であるアデノシンの働きを抑制するため。疲れたときに体内で産生されるアデノシンの働きがブロックされることで、筋疲労が一時的に感じにくくなり、運動パフォーマンスの向上につながると考えます
コーヒーが運動・筋トレにいい理由②
集中力・モチベーションアップ

脳をリラックス状態へと導き、眠気を誘う働きを持つアデノシンですが、カフェインはその働きを抑制します。そのため、カフェインを摂取すると、脳は覚醒状態に陥り、眠気が覚めてすっきりとした感覚、集中力が高まるといった作用が期待できます。また、交感神経が刺激され、血管が縮小し血圧や心拍数も上昇するため、心身ともに活動的になります。

北岡先生 筋トレや短距離走、瞬発系のトレーニングなど、特に短時間集中して行う運動時のパフォーマンス向上に役立つと考えられています
コーヒーが運動・筋トレにいい理由③
脂質代謝を高める

カフェインを摂取して運動をする人は、同じ運動をしている人に比べ、脂質代謝がアップすることが分かっています。脂質代謝が高まると、脂肪細胞から脂肪酸を分解して血中に放出。脂肪酸をエネルギーとして使えるようになります。

ダイエット効果を狙うには、継続して運動とカフェインを組み合わせることが大切です。

北岡先生 一般的に運動時に使用するエネルギー源は糖質と脂質ですが、筋肉内にある糖質(グリコーゲン)量には限りがあり、なくなると筋疲労の原因となります。脂肪酸をエネルギーとして使うことで、蓄えられた糖質(グリコーゲン)を温存でき、より長時間の運動ができるように。脂肪燃焼とパフォーマンスのどちらの向上にも働きかけることができるので、ダイエット面でも優秀です

効果的なコーヒーの摂取量とタイミング

効果的なコーヒーの摂取量とタイミング

カフェインは飲んですぐ、15分ほどで体に作用する即効性の高い成分ですが、効率よく働かせるには、摂取してから30~90分のゴールデンタイムを狙いましょう。ジムへの移動中、コーヒータイムを設けるのもおすすめです。

血漿カフェイン濃度
運動開始時点を0とし、60分前(-60)にカフェインを摂取。開始から60分後に血漿濃度がピークに達したことがわかります。 サイクリング課題(ピーク酸素摂取量の70%で2時間の定常状態+タイムトライアル)前後のタイムコース
スクワットの合計値
運動前にコーヒーでカフェインを摂取した人とプラセボの比較。コーヒーでカフェインを摂取した人の方がより負荷をかけてトレーニングできた結果に。 最大挙上重量の60%の重さでスクワットを繰り返し行った合計値。

コーヒーでのカフェインの摂取量の目安は、1日マグカップ(237ml)で3~4杯。カフェインの含有量は、焙煎や温度ではさほど変化はありません。ただ、コーヒーに含まれるポリフェノールを効率的に摂取する場合、ポリフェノールの一種、クロロゲン酸は、"生豆"に多く、焙煎時間が長いほど減少傾向となります。エスプレッソなどの深煎りよりも浅煎りがおすすめです。

1日のコーヒー摂取量の目安
【1日のコーヒー摂取量の目安】
妊娠や授乳中、妊娠を予定している方は、カフェインの影響を受けやすいため、1日マグカップ(237ml)2杯程度にしましょう。
カフェインの過剰摂取には要注意!

カフェインの持続効果は平均4時間程度、8時間経っても体内に残るといわれます。夜の睡眠に影響を与えないためにも、できるだけ夕方以降は摂取しないようにしましょう。また、いくらパフォーマンス面で優秀といっても、飲み過ぎは禁物です。過剰摂取は、動悸や下痢、吐き気といった身体症状のほか、興奮や不安、イライラといった精神症状、そして不眠の原因にもなるので注意が必要です。

【+α】運動前の摂取なら糖分も味方にできる!

筋肉の成長に欠かせない「タンパク質」と「糖分」をコーヒーで取るのも賢い選択。タンパク質となる牛乳、砂糖やはちみつといった糖分を加えたラテなら、おいしく栄養をチャージできます。ブラックコーヒーが苦手な人にもおすすめです。

初心者でも始められるトレーニング法って?

初心者でも始められるトレーニング法

コーヒーに含まれるカフェインは、脳や筋肉へと働きかけ、筋トレや短距離などの強度の高い運動のほか、ランニングやウオーキングといった有酸素運動など、あらゆるスポーツとの相乗効果が期待できます。「筋トレはちょっとハードルが高い」「忙しくてジムに通う時間がない」という人は、自宅での"ながらトレーニング"やウオーキング、ジョギングといった有酸素運動から始めてみてはいかがでしょう。

北岡先生 今、スクワットや腕立て伏せなど、自分の体重を負荷にして行う"自重トレーニング"が人気です。コーヒーと一緒に取り入れてみてはいかがでしょう。
まとめ
  • コーヒーに含まれる「カフェイン」はパフォーマンスアップに有効成分
  • 運動する30~90分前のゴールデンタイムに摂取すると効率アップ
  • 1日3~4杯を目安に。継続することで健康をサポート
  • 摂り過ぎや時間帯によってはマイナス要素もあるので要注意
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